日高建築工房

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全館換気システム 本当に大丈夫? 机上の空論??

2024.10.19

本日無事お引き渡しをさせて頂いた弊社5棟目のパッシブハウス認定申請物件

”宮内Hパッシブハウス”

先日、換気システムの風量調整をしてきました

最近は高気密高断熱住宅が当たり前になってきて、建売のお家でも意外と多くに、熱交換型機械換気システムが採用されていますよね

熱交換型だと、せっかく高い電気を使ってエアコンで冷やしたり温めたりした空気を無駄に捨てなくて済むから

”省エネ!お財布にやさしい!!”

なおかつ家中の空気をグルグルかき回してくれるので、暑いところ・寒いところの温度ムラが出来ずに

”家中快適!!!”

確かにそうです

計算上は・・・

でも本当にそうなっているのでしょうか?

ちゃんと換気装置が計算通り働いているかのチェックはすごく大事

そしてちゃんと調整することはもっと大事

ちゃんと測定してみないと、実は分からないですし、調整しないとまず思った通りになっていないのが現実

測定・調整は専用の風量測定器を使っての測定

こんなの使います

そして、この機械を使って計測した実際のデータがこれ

 

 

実際のデータなので字が汚くてごめんなさい

赤丸の数字が計算上の数字

水色で囲った数字が、1回目の数字

機械の風量も計算書通りで、電源を入れて何の調整もなく測定した数字です

1回目の測定で給気側はほぼ計算通りなのですが、排気側が全然計算通りに風量がなっていないことが分かります

11㎥空気が流れてないといけない所が6㎥しか流れてなかったり、5.5㎥必要なところがたったの1㎥だったり

あまりにも違うので、とりあえず1階だけ計測していったんストップ

今度は機械本体の風量を調整

そのデータがオレンジ色で囲った2回目の数字

今度は排気側の風量が増えたのですが、1階は計算より少ないのに、2階は多すぎ

ここからが難しいところ

外の機械本体の排気量はほぼ計算通りなので、機械本体のボリュームはこれで良し!

あとは個別に室内の排気グリルの風量調整の弁を

開けたり・閉めたり・測ったり・開けたり・閉めたり・測ったり・移動して・・・・・

の繰り返し

『こっちを閉めると、なぜかあっちの風量が増えちゃう。そっちの風量が増えてほしいのに・・・』と排気グリルを行ったり来たり

オレンジの計測から、緑の3回目の計測結果にたどり着くまで今回は2~3時間かかりました(汗)

《別に施工レベルが低いわけでなく、自分で言うのもなんですが、ダクティングの施工レベルはかなりちゃんとしている自信はあるのですが(笑)》

こんな意外と地道でめんどくさいことを繰り返してやっと計算通り・つまり

”省エネで家中快適”

な空間になっていくのです

なんでもそうですが、いくら計算されていても、図面に書いてあっても、なかなか実際はそう上手くはいきません

”机上の空論”

とはホントに上手く言ったものです

だから職人さん達ってすごいんです

ちゃんと思い描いた通り、いや、以上に形を造り上げてくれるのですから

換気ひとつにしても、本物の快適を目指すなら、やっぱり手間暇と、技術と経験が必要です

”机上の省エネで家中快適な家”

なら誰でも出来ますけどね(笑)