日高建築工房

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基礎は一体打ちがベスト

2020.07.10

建築現場管理歴25年

いろいろな現場で、自分の目で見て、汗を流してきた建築現場のプロとして、自信をもって”おすすめ”する住宅の基礎

高品質で長持ちする家が欲しいなら 基礎は迷わず【コンクリート一体打ち】がベストです

 

今現在、住宅の基礎工事には大きく分けて、コンクリートを打設する方法が、2種類あります

ベース(底板と言われる水平部分)と立ち上り部のコンクリートを

分けずにいっぺんに打設する【一体打ち】と

2度に分けて打設する【二度打ち】

基礎の造り方の違い

 

2種類あるとはいっても、大手ハウスメーカーも有名工務店もほとんどが【二度打ち】

【一体打ち】をしているハウスメーカーも工務店も、身近なところで見たことないので、ほとんどというか、ほぼ全部と言った方が良いかもしれません

 

『んで、結局どちらが良いのか?』

ハウスメーカーや有名工務店が【二度打ち】してるなら、二度打ちの方が良いんじゃない?と思う方もいるかも

 

構造・強度の観点からみても、

シロアリ対策(家の耐久性)の観点からみても、

どう考えても

断然【一体打ち】の方が良いのです

 

それはどうして?かというと・・・

 

まずは構造・強度の観点からみてみましょう

コンクリートってちゃんと打ち継いでいけば、ちゃんと強度は出ます

ビルなんかの大きな建物は何回もコンクリートを打ち継いでいきますが、そんなに問題にはならないですよね

ただ、”ちゃんと打ち継ぐ”のがあくまで前提で、構造計算もコンクリートが分離しているとは計算しません。あくまで一体として計算しています

なので、打ち継ぐ場合にはかなり厳しい管理と、細かな施工が必要になってきます

・ベースのコンクリートの目荒らしする

・レイタンスを撤去する

・型枠の剥離剤なんて付着していたら問題外

私も20代の時は学校や物流倉庫やスタジアムなどの大型建築の現場監督をしていたのでわかるのですが、その作業をするために職人さんに来てもらい、日程を確保したりして管理していました

ただ、住宅の基礎でそこまでちゃんと管理している工務店・ハウスメーカーが果たしてどれくらい・・・

でも、それくらいちゃんとしないと、ベースのコンクリートと立上りのコンクリート同士が密着せず、つまりは一体にはならず、ちょっとしたひび割れのような隙間が出来ます

基礎二度打ち

こんな感じの基礎よく見ません?

雨が降ったら、基礎の中にたまった水が、おそらく打ち継ぎのところから染み出てくる

でもコンクリートの中には鉄筋ありますよね?

ベースと立上りとを一体につなぎ合わせるための鉄筋が!

鉄は濡れたら錆びます。

鉄筋は鉄なので、濡れたらもちろん錆びます。

錆びたらダメになります。

じゃあ、よくないですよね?

何度も言いますが、強度的には、しっかり打ち継げば、問題はありません

あくまで【しっかり!】です 

私の経験上、【しっかり】打ち継ぐことは【一体打ち】するよりよっぽど難しい作業です

 

つぎはシロアリ対策(家の耐久性)の観点からみてみると

隙間ができてしまうと、強度的な問題とともに、木造住宅の天敵・シロアリの進入路にもなってしまいます

シロアリは1ミリ程度の隙間が有ればどんどん中に入ってきちゃいます

高気密高断熱で皆さんにとって年中快適な空間となっている、”高性能住宅”

”シロアリさん”にとっても快適な空間なのです!

地面近くの打ち継ぎの隙間から、床下に侵入して土台や柱を食い散らかす

毎年シロアリが活性化する5月かた7月にかけて、まめに床下にもぐり、シロアリが入ってないかチェックするなら問題ありませんが、そんな人いませんよね

(ちなみに農薬系の防蟻薬剤を使っていれば、それは揮発性のため、身体に害があるかどうかは別にしても、5年もすれば全部揮発してしまい、防蟻効果はなくなっています)

家が高気密高断熱化されて、快適に成れば成るほど、シロアリにとっても快適な空間になってしまいますので、

シロアリ対策も何重にも施して、しっかりとした対策をしないと、大変なことになってしまいます

 

どれだけ高性能な高気密高断熱で、冬暖かく・夏涼しい家を建てても

構造計算をして、耐震等級3の安心安全の家を建てても

計算通りの強度が出てなかったり、シロアリに土台や柱を食べらえたりしてたら当然”長持ちする家”とは言えません

べた基礎のベースと立ち上がりを同時施工【一体打ち】をする事によりこれらの問題を解消でき、住宅の寿命や質を向上することが出来るのです

じゃぁ、良いと分かっている【コンクリート一体打ち】をなぜ、ハウスメーカーも工務店もやらないのか?

実は・・・ほとんどが『やらない』んじゃなくて『やれない』のです

 

業界の裏話をすると・・・、

【コンクリート一体打ち】をするには、木製の型枠を使用しないといけないのです

(内部の型枠を浮かせないといけないので)

木製の型枠を使うには型枠大工さんの手が必要で、基礎屋さんだけではできず、別で発注しないといけない

木製の型枠はいくつもの現場で使いまわしすることが難しく、どうしてもコストが上がってしまうのです

基礎一体打ち

一方、【二度打ち】の方は、鋼製の型枠を並べるだけで良いので、型枠大工さんに頼まなくても基礎屋さんが自分で出来ます

鋼製の型枠は何度も使いまわしがきくので、コストも安くなるのです

普通の住宅 基礎工事 普通の住宅 基礎工事

コストが抑えられて、出来上がってもお客さんにはなかなか良し悪しの違いが分かりにくく、なおかつ引き渡してすぐには不具合が出るようなものでもない

となると、本当はどっちが良いのか?理想はどっちか?分かっているはずなのに・・・

家の品質・性能・長持ちするかどうか?という観点で考えれば間違いなく【一体打ち】

コスト・工事の簡単さ・管理の簡単さという観点で考えれば間違いなく【二度打ち】

さぁ、あなたならどちらを選びますか?

残念なことに、ほとんどのハウスメーカー・工務店は【一体打ち】が出来ないのが現状ですが。

家造りのプロとして、家族の財産と命を守る家のためを考えると、自信をもって”おすすめ”するのは、【基礎コンクリート一体打ち】なのです