日高建築工房

ブログ

家ができるまで⑨ レンジフードダクトの注意点

2020.01.28

レンジフードのダクトも暖かく涼しい・高気密高断熱の家には大切な重要なポイント

今日はレンジフード・・・の排気ダクトの話

高気密高断熱とレンジフード関係あるの?

どの工務店・どのハウスメーカーで建ててもそこはあまり変わらないんじゃない?

だってどこの工務店・どのハウスメーカーで家を建てても、キッチンは有るし!

って思っている方、

そうでもないのです!あるんです!!

”おすすめ”のレンジフードのダクトが!

知っているのと、知らないのとでは家の性能・快適さ・長持ちに影響してくるのです!!

 

『またまた、細かいこと・・・』という話

『また見えなくなるところ・・・』という話(^_^;)

でもでも、

”安全”とか

”快適”とか

”長持ち”とか

”メンテナンス費用を抑える”とか

皆さんがベーシックなところでご希望される事柄は、だいたい目に見えなくなる、細かなところの仕事で”差”が出てくるのです

特に家の性能が高くなればなるほど、つまり、”ちゃんとした”高気密高断熱の家を求めれば求めるほど、こういった細かなところが大切になってきます

今までもブログで書いてきた【家ができるまで】シリーズも、出来上がると、だいたい見えなくなるし、細かなところ

かっこよく言うと『神は細部に宿る』とでも言っておきましょう\(^o^)/

 

っということで、今回は換気扇(レンジフード)の排気ダクトの話

現在、住宅の換気扇の排気ダクトに多く使われているモノって、たぶん【アルミ製のフレキシブルダクト】

普通(キツイ言葉で言えば『何も考えてない』)の工務店やハウスメーカーが使っているダクト

写真左側の、銀色でキラキラしている方

レンジフードダクトの違い 

そして、もう少し気の利いた工務店・ハウスメーカーならば【スチール製(亜鉛メッキ)のフレキシブルダクト】

写真右側の少しグレーの方

 

そして、ちゃんとした・バカ真面目な工務店が使用しているのが、【亜鉛鋼板のスパイラルダクト】

下の写真の硬そうな直管

 

中を見れば解るのですが、アルミ製もスチール製も内側が凸凹しています

一方、スパイラルダクトは内側の凸凹が少なくが平滑

どちらが良いと思います?

結論はなるべく凸凹が少ないスパイラルダクト

凸凹が多いということは、それだけ抵抗が多く、空気が流れにくくなり、結果的に油脂が付着してしまう

ダクトの中なんて基本的に自分じゃ掃除できないから空気の流れの抵抗が少ないスパイラルダクトを使うべき

 

また、もっと根本的な話

消防法つまり防火(火事の対策)の観点から考えると

『排気ダクト等は、耐食性を有する鋼板またはこれと同等以上の耐食性および強度を有する不燃材料で造ること。 ただし、・・・』

というような消防法上のルールが実は換気扇のダクトには有るのです

ただ、「これは使ったらダメ」という明確なルールが無いので、なんとなくあやふやになって、一番安いアルミ製フレキシブルダクトが多く使われているのですが、『耐食性』の観点から見ると最低でもスチール製のダクトを選ぶ必要が有るかと思います

そしてもうひとつあやふやになっているのは

排気ダクトと可燃物との距離は10センチ以上離すこと。

ただし、次の条件においては10センチ未満とすることができます。

50ミリ以上の特定不燃材料で排気ダクトを被覆する。

・可燃性の部分を5ミリ以上の特定不燃材料で被覆し50ミリ以上離すこと。』

というルール

ダクトに特定不燃材料(金属板・モルタル・しっくい・石・12mm以上の石膏ボード・ロックウール・グラスウールなど)を巻かないのであれば、10センチ以上燃えるもの(天井下地や上階の梁など)から離さないといけない

もしくは5センチの不燃材を巻かないといけないのです

 

『できるだけ天井は高い方が良い』と要望に応えて、狭くなりがちな天井裏

換気扇のダクトの直径15センチ+不燃材5センチ厚を巻き付けると合計直径25センチ

なおかつフレキダクトであれば自由に曲がりますが、スパイラルダクトでは自由が利かない

曲げる時は、専用部材を使わないといけないので大変

もともと構造計算をする時に、こういったダクトや排水の配管などが通ることを頭に入れてちゃんと木組みを計画・計算しないと後からでは天井裏にこんな太いおおきなダクトは通らないのです

硬くて大きなスパイラルダクトは、簡単には曲がらないし、つぶれない

工事中に現場の職人さんから

『ダクトが大きすぎて天井高が取れない!天井高をさげるか?梁に穴を開けるか?』

という究極の質問が、現場監督さんや設計担当者に連絡が入ってくるはめになります

なので、皆さん良いとは判っていても、スパイラルダクトは使わない・使えないのです

そもそも多くの家造りでは、ハウスメーカーや工務店の営業の人たちがプランを考え、打合せを進めていくので、配管ルートや、梁の組み方など、設備や構造のことまで頭に入れて考えてプラン・打ち合わせをしている人は”ほぼ皆無”

でもよく考えてみてください

今の家、換気扇のダクトの中の掃除したことありますか?

そもそもフニャフニャなフレキダクトにこびりついた油を取ろうとしても、穴が開いてしまうのでゴシゴシ出来ないし

ここに油が溜まり、万が一、火が引火したら・・・

ダクトの中が火事になっても天井裏に火が回らないように施す不燃材5センチ厚を巻き付ける作業、実は断熱性の向上にも役立つのです

だってダクトは直接、断熱材を施工した外壁を貫通して外部に出ています

つまりダクトの中は、レンジフードを使っていないときは、断熱材も何もない”外気”と同じ

なので不燃材であり断熱材でもあるロックウールを巻き付けていると暖かさのロスも少なくなり、防火にもなって一石二鳥

皆さん、やはり良い家造りには、見えないところが大切

それも計画の段階から、

デザインや家事導線は当たり前、設備・配管・構造・断熱性能・メンテナンス性・耐久性・・・

家全体をトータルで考え進めないと表面的だけじゃない”本当に良い家”は出来上がっていかないのです

【高性能な高気密高断熱】つまりは

【暖かく・涼しく・光熱費のかからない・そして長持ちする家】

とは、見えなくなるところの部材や工法まで考え抜き、こだわった家造りをして初めて完成するのです

 

本物の高気密高断熱・【暖かく・涼しく・光熱費のかからない・そして長持ちする家】が欲しい方たち

『レンジフードのダクトはスパイラルダクトを使ってんすよね?』って工務店さんに聞いてみてください

『もちろん!ロックウールを巻いて防火対策もばっちりです!!』と言ってくれるか?

『???』って答えが返ってこないか?

どのくらいちゃんとした家を造っているかが分かるかもしれません(^^♪

『神は細部に宿る』ならず『快適や安全は見えないところに宿る』です

他にも注文住宅を建てるうえで注意したいポイントがイロイロ

特に高気密く断熱の家では

気密のことだったり

換気設備の施工のことだったり

シロアリ対策のことだったり

本当に地震に強い家にするコツだったり

【細部にこだわった家づくり】をして【より快適に、豊かな暮らし】を送ってください